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ブックフェアの長ーいひとりごと

 7月10日縲鰀13日まで、ビックサイトで東京国際ブックフェアが開かれました。学研も「教育の学研、科学の学研」をテーマに出展。毎年テーマに合わせて、展示に趣向をこらすのですが、科学創研もその企画会議に参画しています。
 ブースには、必ず実験コーナーを設けてきました。今までは「1年の科学」の付録や「大人の科学製品版」のキットを巨大化した実験装置を作ったり、有人型リニアモーターカーを設置して、来場者に試乗してもらったりと、科学の不思議や面白さを体感してもらってきました。
今年は、有人型空気エンジンカーの展示や空気エンジンカーなどの体験コーナーのほか、「水に濡れない不思議な砂」を使った、実験ショーのコーナーを設けました。
「水に濡れない不思議な砂」ってご存じですか?この砂は、撥水効果があるので、敷き詰めた処に水滴を落とすと、コロコロの水玉になるのです。ちょうど、ハスやサトイモの葉っぱに水滴を落とした状態と同じです。水の中で固めて粘土のように形を作れたりするのに、水から出すとまた元のサラサラな状態に戻ります。この性質を利用すると、まさに「科学の不思議や面白さ」が体感できるのです。

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  テープ一面にぬれない砂を貼り付けたものに水をたらすと、コロコロの玉に。

実験素材自体が、おもしろいので、いつもの悪い癖がでて、あれもできるこれもできると実験アイデアがいろいろと浮かんできてしまいました。当然、実験メニューは、制限時間無視のてんこ盛り状態。開催期間中、自分一人で実験ショーを演じるわけではなく、科学創造研究所所員を中心に、のべ8人で演じるのです。当然、予定の時間内に収められるのか、全メンバーに実験内容を覚えて貰えるかなど、周りから言われるまでもなく不安になります。しかし、「実験の面白さを多くの人に伝えたい」という想いにはかないません。実験の簡単な説明書を作って全メンバーに渡し、前日のリハーサルと初回の本番は私が演じるので「観て参考にしてください」ということで、強行突破をはかる??とにしました。これも、「科学の面白さを広めるため、多少の無理は通しても良いだろう」という、自分勝手な考えで走りきることにしたのです。この「多少」は、私にとっては「多少」でも、始めて実験を見て1回で覚えなければならない研究員にとっては「重大」な「無理」なのですが。

 そして、人生は想定外のことがよく起こるものです。今年は開会式の直後、すばらしいお客様が学研のブースに来て頂けることになったのです。秋篠宮殿下と妃殿下です。しかも私の実験ショーを観て頂けるということになったのです。こんな光栄なことはありません。いつものことですが、新しい実験メニューを組んだときの最初の講演は、非常に緊張します。それに加えて、今回は初回のお客様が殿下と妃殿下です。タモリさんの「笑っていいとも!」の生実験コーナーに出演したときが、人生最高の緊張、と思っていましたが、今回はその時を遙かに超えた感じがします。
 私には悪い癖があって、緊張すると声の音量がボリュームアップしてしまうこと。普段から声が小さい方ではないので、緊張している私のそばで話を聞く方は少し(かなり?)迷惑かもしれません。今回は、殿下も妃殿下も1メートルほどの距離で、説明を聞い頂いたので、ザワザワした人混みの中とは言え少々心配しております。
極度に緊張するであろう初回の実験ショーを乗り切るには、コツがあります。観客の方の中から私の説明によく反応してくれる人を何人か探すのです。そして、その方たちに話しかけるように進めていくと、緊張もほぐれ、いわゆる「ノリノリ」の状態になっていくのです。そして、ノリだすとまたまた私の悪い癖が頭をもたげてきます。終了時間が気にならなくなり、時間枠を無意識に突き破ってしまうのです。

 今回も、ノッてしまいました。「忙しい方なので、滞在して頂ける時間は、これだけですよ」ということは、打ち合わせの時点で何度も念を押され、私も十二分に理解していました(いたつもりでした)。今回だけは何が何でも時間を守らなければ、多くの方たちに迷惑をおかけしてしまう。肝に銘じました。
しかし…
今回ほど、悪い癖が出る諸条件が出そろったこともありません。それはもうロイヤルストレートフラッシュ並みでした。極度の緊張感。殿下妃殿下の実験を観て頂いた時の反応の素晴らしさ。想定していなかった殿下からの質問もうれしかったですし(濡れない砂が実際どんなことに使われているのかなど尋ねられた…と思うの…ですが、正確な会話は極度の緊張のため、飛んでしまいました…)、妃殿下のすてきな笑顔を拝見したとき、もう走り出したら止まらない暴走特急です。打ち合わせに無かった実験も次々に披露し、説明してしまいました。

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結局、私が受け持った予定時間の倍近く、耳を傾けて頂くことになってしまいました。多くの方々に迷惑をおかけしてしまったかもしれません。でも、私にとってはこの上ない達成感を味わえた幸せなひとときでした。一生の思い出です!
やっぱり、実験は、いいもんですね。ワクワクできて、やめられません。